梅、杏、沈丁花...春は香りとともにやってきます。
美濃飛騨こぶし街道もずいぶん寒さが緩んで来ました。
雑踏の中を歩く バスを降りる
目覚めて窓を開ける 行き過ぎる電車を待つ・・
そんなふとした瞬間に、どこからともなく漂ってくる香りに
遠い日のあこがれや夢が呼び起こされて、胸が痛くなるようなことがあります。
冒頭の歌は、そんな心象を見事に切りとって、いつ読んでも、
まるでいま自分がそこに佇んでいるかのような錯覚を覚えます。
香り・匂い・音・メロディ、陽光・風・水・火と土、そして大気
感性を揺さぶるさまざまなものたちは
記憶の狭間を刺激して私たちを原風景へと誘い出します。
ずっとずっと大切にしてきたもの。
すべてのエネルギーを注いで恋焦がれたもの。
追い求めて続けてきたそれらのものは
実は初めからとても近くにあってただ気がつかなかっただけなのかもしれない。
春の宵、ぼ~っとした頭で、ぼんやりとそんなことを思いました。