2016/07/07

ヒメコウホネ




「小ぶなとるわらはべ去りて門川の 河骨の花目高群れつつ(正岡子規)

高山市某所ではいま河骨(コウホネ)の花が見ごろだとか。
暑い日が続くと川面に漂う愛らしい花に束の間の涼を求めたくなりますよね。

以前、友人が
『絶滅危惧種』に指定されている姫河骨(ヒメコウホネ)の群落を見せてくれるというので
抱えていた仕事も手いっぱいで、気持ちが焦ってあまり気が進まなかったのですが
せっかく誘ってくれたのだからと、思いきってついていきました。




こんなところに道があるのかと思う藪の中を右へ左へ。
ずいぶん歩いたと思いましたが、着いた場所はなんと
いつも通る街道の真下に当たる金華山の麓の谷川でした。

澄んだ流れの中にさやさやと揺れる真黄色の小さな花・・花、花。
あのときの、何か、洗い流されたような感覚を
いまもくっきりと思い出すことができます。

ゆとりが無く、季節の移り変わりにも鈍感になって
匂いも色も音も感じない、物の味もわからないほど疲れきっている私を
心配して誘ってくれたのだと、友の気持ちがありがたかったです。

河骨は、水中にある根茎が白くゴツゴツして骨のように見えるので
河骨(かわほね)と呼ばれ、(こうほね)に変化したということです。

蓮や水連も然り、愛らしい花の根茎は思いのほか逞しく深い。
そんな姿に触れるたび、すごいなあ、たいしたもんだなあと思うのです。